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2020.01.16

コラム

脳の老化について

時間は一方通行に経過します。老化は全ての人に平等に訪れ進行します。皮膚、骨、筋肉、血管、臓器など例外はありません。全ての老化の中で人が最も心配し、忌み嫌う器官が脳なのだと思います。脳には千数百億個の神経細胞があり日々数が減っていきます。また皮膚の老化でしみができるように脳にもアミロイドという老化物質ができてきます。認知能力の低下は神経細胞の減少とアミロイドの沈着によりもたらされます。脳内での神経細胞間の連絡は神経伝達物質により起こります。アセチルコリン、ドーパミン、ノルアドレナリン、グルタミンなどが代表的な神経伝達物質ですが認知能力の低下にはアセチルコリンの減少が関わります。現在処方される抗認知症薬はアセチルコリンの減少を抑える薬です。脳の若返りはできませんが、認知症の進行を遅くします。

他者に気を使い、距離を置くようになってきた現代社会のなかでは一人暮らしの高齢者が増えています。一人暮らしになると会話が減り脳への刺激が減るので認知症が進行しやすくなり、相談相手がいないので不安が増長されうつや睡眠障害を併発し、さらに認知症を進行させるという悪循環に陥ります。認知症の中核症状は記憶障害や見当識障害ですがそれよりも問題なのは周辺症状です。周辺症状にはうつや気力低下、興味の減少といった陰性症状と徘徊、せん妄、興奮、易怒性といった陽性症状があります。多くは陽性症状が介護放棄、家族関係崩壊の原因になります。

高齢化は先進国全体の問題になり、特に日本では少子化も深刻ですので認知症対策は急務です。一人暮らしの高齢者、周辺症状が強い高齢者に対する社会全体と医療機関の取り組みに秀でた国が真の福祉先進国になれるのだと思います。

認知症は誰にでも訪れる自然の理であり恥ずかしがるものではありません。心配や不安がありましたら気軽に受診してみてください。

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