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2019.12.19

コラム

腰痛について

何故他の動物と比べても人に腰痛が多いのか?理由は直立二足歩行だからです。人は1日のうち多くの時間頭を挙上し背骨に支えられて生活しています。この姿勢だと体重のかなりの割合が腰(腰椎~骨盤)にかかります。さらに重いものを持ったり、無理な姿勢をとったり、同じ姿勢を変えなかったりで毎日不規則な負荷が脊椎にかかり続けます。若いうちは骨、筋肉、靱帯、椎間板が強いので耐えられますが歳を重ねるにつれ耐震構造が弱ってきます。

その結果脊椎は変形し痛みを生み出します。

腰痛の強さと持続時間が人によって違うのは、全て変形の具合が人によって異なる事によります。ところで一部の腰痛(例えば若い方の椎間板ヘルニアは手術で完治できます。)を除いて腰痛が手ごわいのは何故でしょうか?脊椎はその構造の中に体中から集めた神経を有しています。骨膜、筋膜、靱帯などからの痛み情報(侵害受容体性疼痛)のみならず脊椎を患うとこの多数の神経からも痛みとしての情報(神経障害性疼痛)が脳に伝達されます。

結果混合性疼痛というやや複雑な痛みとなります。例えばロキソニンは侵害受容体性疼痛にしか効かないので効果不十分です。最近では神経障害性疼痛にも効くリリカ、トラムセット、サインバルタなどが使われています。しかしそれでも効果不十分な場合が多いのでトリガーブロック注射、消炎鎮痛療法(低周波、超音波機器)などを組み合わせます。最近これら消炎鎮痛機器の進歩にも目覚ましいものがあります。耐震構造が著しく弱くなった状態(胸腰椎の多発圧迫骨折)では慢性難治性疼痛になりかなり辛くなります。このような場合は骨粗鬆症治療の中でも最強の治療(骨形成作用を有する注射)が必要です。

上記のような治療をしても痛みが軽減しない、または過去に脊椎手術をした後から辛い痛みが続いている場合は脊髄から神経そのものを調節する治療(脊髄刺激電極埋め込み術)が有効な場合があります。

人にとって継続する痛みは生活の質を最も低下させるものです。なんでもご相談ください。

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